以前キャリコネニュースさんで連載させて頂いていたものです。
著作権は私のところにあるので、こちらにも掲載させて頂きます♪
元のサイト→http://careerconnection.jp/biz/hotel/content_1766.html
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ホテルは24時間365日、常に営業しています。うちのホテルは早番・遅番・夜勤の3交代制が基本で、夜勤の仕事はアサイン(部屋割り)業務や館内見回り、備品の補充、予約サイトの口コミ返信、本社に提出する書類の作成など、1人で黙々とする仕事がほとんどです。
フロント夜勤は男女2人体制が基本で、私が夜勤に入るときは年の近いパートの男の子と組む事が多かったです。上司が居ない環境で気楽にのびのびと仕事ができる夜勤が、私は嫌いではありませんでした。…でも、少し怖いことが一度ありました。
「お電話ありがとうございます、○○ホテルのユズモトが承ります」
「………………」
ある日の夜勤中、非通知からの無言電話がありました。いたずら電話か、間違い電話かなと、その時は特に深く考えていなかったのですが、無言電話は1回では終わらず、私が夜勤に入るたびに掛かってくるようになりました。
ちょうどその時、スタッフ不足のため夜勤ばかりやっていたので、無言電話は毎日のように掛かってきました。電話の回数も、最初は1日の夜勤につき1回だったのが、2回になり3回になり…、と増えていきました。
2週間くらい経ったころには、1~2時間に1回は無言電話が掛かってくるという状況に。不思議なことに、私がお休みの日は無言電話が掛かってこないのです。
最初は「好いてくれる人がいてよかったな!」と笑っていた上司や同僚も、これはただごとではないと判断したのか、私はしばらく夜勤から外れ、日中勤務を担当することになりました。
さらに、私は非通知からの電話をとらなくていいということになりました。この対応策はとても効果的で、昼番メインになった途端、無言電話はパッタリと止みました。
2週間ほど何事もなく過ぎ、もう大丈夫だろう…ということで、私は夜勤シフトに戻ることになりました。そして、夜勤に復帰したその日。
もう1人の夜勤スタッフが館内の見回りに行っているとき、非通知からの電話が鳴りました。嫌な予感がしましたが、事務所に私しかいなかったので電話を取ると、その予感は大当たり。電話の主は男性の声で、
「……なんで逃げるの?」
とだけ言って、すぐに電話を切りました。
次の朝、私は泣いて支配人に報告し、「次に掛かってきたら警察に通報する」ということになったのですが、それ以降、無言電話は掛かってくることはありませんでした。これが私がホテルで経験した、一番怖くて嫌な出来事だったかもしれません。
ちなみに、実は、無言電話の犯人には、心当たりがあったりします。ちょうどその頃、長期滞在をしていたAさんが、無言電話が掛かってくる少し前に、いつもフロント前を通過していたのでした。
他の事業所でも、Aさんの滞在中に「無言電話が頻発していた」との確認もとれています。この場を借りて言います。――Aさん、あなたですよね?